FP事務所のんだら舎のブログ

たまに脱線アリ。いろいろな情報を楽しく発信していきます!

離婚と贈与税

緊急事態宣言もあけ、街も心なしかいつもの活気が戻りつつあるように感じます。

そんななか、場末の素寒貧士業と万年受験生であるこのふたりも、以前のようにお酒を片手に、とりとめのない話で時間つぶしをしているようです(´ω`)…。

 

 

(以前と相も変わらず缶酎ハイとワンカップを片手に…)

だんな:あんた新型コロナ大丈夫だったんかい?

わたし:おかげさまで、老化で白髪は一気に増えましたが。

だんな:それって関係あるんか? そういやおまえさん、ずいぶん会わんうちに髪の毛が光ってきたな。

わたし:仕事もほとんどなく散々ですよ ┐(´д`)┌

だんな:もともとそれほどねえだろうよ。まあ、今回のコロナは、ほんとうにまいったよな。公園でこうやって呑んでるだけでA級戦犯のような扱いだったからな。

わたし:といって、家にいたって体がなまるだけですもんね。

だんな:家にいるであれだけど、それで奥さんともめて『コロナ離婚』なんちゅうのもあるんだとさ。

わたし:まあ、別れたきゃ別れりゃいい…という感じですかね。

だんな:あんた、無料相談でもそんな応対なんかね?

わたし:無料相談の時は「あなたね、離婚なんて考えるのは暇な証拠だよ。なにか趣味を持つといい。そうだ陶芸や絵画、蕎麦を打つなんてのがいい」とアドバイスしていますよ。嘘ですけどね。

だんな:一昔前のDV相談で女性が警察署に訪れたときの警察のいい加減な対応じゃねえかよ、それじゃ(笑)。

わたし:そうなんですか?(笑)

だんな:そういやあんた、本当にくだらんことばっかり知ってるから、聞くんだけどさ、以前離婚した場合、所得税がどうのとかあんた言ってたけど、離婚して、前の女房にお金やるとさ税金とかってかかるの?(以下リンク参照)

 

gyouseifp.hatenablog.com

 

わたし:かからないですよ。

だんな:じゃあ、離婚時に家と土地をあげる場合、問題になるのは住宅ローンが残っていた場合という……

わたし:いやちょっと、それは、所得税がかかる「かも」ですよ。

だんな:あんたの言っているのは意味がいつもわからんよ。今かからなないと言っていたじゃないか。

わたし:それは「もらう側」がかからないだけで、「渡す側」は、所得税がかかる場合があるのですよ。

だんな:じゃあ例えばだよ。ローンがまだ残ったマイホームを離婚する女房にあげる場合、どんな感じになるんだよ?

わたし:そういう場合は、私なんかに訊くより、ローンを設定した金融機関に訊くのがいちばん早いと…

だんな:なんだよそれ。

 

 

 

【解説:場末の素寒貧FP】

離婚に伴う財産分与や慰謝料

もらう側:原則として課税されない*1。財産分与によりマイホーム(不動産)を取得した場合には、登録免許税や不動産取得税は課税される(どちらが負担するかは別として)。

渡す側:マイホーム(不動産)の場合での課税(財産分与義務である債務の消滅という経済的利益を対価とする不動産の譲渡において、譲渡益がある場合課税)

 

★会話中の「だんな」の疑問

だんな:じゃあ例えばだよ。ローンがまだ残ったマイホームを離婚する女房にあげる場合、どんな感じになるんだよ?

 

XがYと離婚した場合

X名義のマイホーム購入価格(取得費) 3,000万円

離婚時のマイホームの時価 3,500万円

住宅ローンの残高1,000万円 債務者X

 3,500万円(時価)-3,000万円(取得費)=500万円(経済的利益

※別解:3,500万円(時価)-1,000万円(住宅ローン)-3,000万円(取得費)+1,000万円(住宅ローンを支払わないことの利益)=500万円

 

以前の投稿でも書きましたが、これは結局バブル時代のように土地の価格が右肩上がりで上昇している時の話してあって、現在では以下のようなケースが多いと思います。

 

XがYと離婚した場合(今の時代で考えられるパターン)

X名義のマイホーム購入価格(取得費) 3,000万円

離婚時のマイホームの時価 2,000万円

住宅ローンの残高1,000万円 債務者X

2,000万円(時価)-3,000万円(取得費)=▲1,000万円(経済的利益

 

課税もされず素晴らしい事案のように見えますが、これではローンを負担するのは離婚したYとなり、住宅ローンの引継ぎは返済能力によっては金融機関が認めない場合があります。

また、いざYがマイホーム(不動産)を生活費に充てるために売却しようとしても、昨今の不動産供給過多の時勢では、時価相当額で売却できるとは限らず、最悪の場合は「タダでも貰ってくれない」という事態も考えられます。

Yからすれば、前夫(事例で云うX)が住宅ローンを負担することにして離婚協議にのぞむのがベターだと言えます。

 

 

 

だんな:なんだか色々と税金は面倒だな。

わたし:(空の缶を振りながら)ですね。

だんな:あんたのとこも大変だな、いろんな意味でさ。

わたし:えっ、うち  σ(∵`)?

 

 

※あくまで一般的な話ですので、個別具体的な税金の事案につきましては、お近くの税理士にご相談ください☝

 

gyouseifp1987.wixsite.com

 

 

*1:財産分与の額が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮してもなお課題であるときや、離婚を手段として贈与税相続税を逃れようとしたと認められる場合はこの限りでない(相続税法基本通達9-8)