久しぶりに理論的な話ではなく、保険商品についてのお話です。
画像は仕事の関係上、手にしたパンフレットの一例ですが、ちょっと前では実にさまざまな商品設定がされてますね。
簡単に見ていくと、
【葬儀保険】
葬儀の費用を捻出するもの。先日の判例変更で、銀行は更に今後預金の引き出しについて厳格化してきます。それを逆手にとった商品です。尤も最近は葬儀自体あげない方も多いようです。判例変更については以下の記事を参考ください。
【健康割】
その名の通り健康な人の加入で割引するというもの。健康な人ならば当然入院費用等の支払いリスクは減る…というものでも必ずしもないのですが、保険会社も馬鹿ではないので、保険数理での確率統計上商品化できると踏んだのでしょう。
【米国ドル建終身保険】
最近人気(?)と言われている保険商品。どちらかといえば、代理店側が奨めているきらいがあり結果、契約数が増えているのでいつの間にか『人気』と言われているのが実態かもしれません。
画像上部のパンフレット、実は左右とも同じ商品のパンフレットです。異なるのは、近時のパンフレットには『学資プランのご提案』の文言が入っていること。
これは、保険者側では最も割の合わない商品が『学資保険』に対し、保険加入希望者の多くが『学資保険』を求めている現実があり、現場(代理店)の要請からこのような表記になったものと思われます。
米国ドル建終身保険のメリットとして、米国の金利の高さに目を付け利回りが大きいことや、インフレ対策などが言われています。反面、為替リスクや為替手数料(ドルを円に戻す時に1ドルにつき〇〇円という形で手数料がかかる)を考慮の上、希望の方は加入してください。
あと、もっとも大事な点。『学資プランのご提案』こそ謳っていますが、学資保険と終身保険では、商品性質がまったく異なります。
【学資保険】
- 期限まで積立
- 途中保険事故があった場合でも支払いを約束
- 最近の低金利の背景から満期時に「支払金額<受取金額」とは言えない
しかしながら使い道が決まっている場合にはこれほど心強い商品はありません。逆に言えば「必ず支払いがある」という点で保険者(保険会社)にとっては旨みのない商品だと言えます(代理店手数料も低い(^_^;))。
【終身保険(学資保険提案型)】
- 一生涯の安心(一応)
- 「掛金<保険金」である
- 運用によっては保険金が増えるかも知れない
一見いいように感じますが、学資保険として使う場合には一定時点で『解約』しなければなりません。言葉は悪いですが、一定時点で死んでなきゃお金がでないのです。死んでいなければ、解約返戻金に頼るしかなくしかもパンフレットのように『低解約返戻金型*1』なんてなっていると不安ですよね。
必ずしも『保険=まがいもの』ではなく、本当に自身のライフプランに合った商品なのかをよく考えることが大事です。
特に殿方は『石田ゆり子に似たセールスレディーに勧められたから…』などと鼻の下を伸ばすことなく、慎重に加入を検討ください。
また今回のパンフレットだけでなく、都道府県によっては「自転車保険の義務化」についてよくご質問をいただきますので、別投稿で軽く触れています。ご参考ください。
『低金利』『人口減少』『若い人の保険離れ』…etc、保険会社は経営の岐路に立たされています。
保険という商品は加入者が多くなければ成り立ちません。儲けという意味合いだけでなく『リスク分散』という意味でもです。大数の法則によって商品の設計がなされるからです。
そのために最近では、既往症がある方でも保険加入を認めたり、保険加入に抵抗のない高齢者をターゲットにした商品がいくつも生み出されています。
ミニ保険についても、利点と問題点等を書こうと思ったのですが、書き出すと長くなりますし、次回以降の投稿に譲るとして、今回はこのへんで。
*1:この商品は理論上、一定時点での解約返戻金と払込保険料がイコールになっている