前回の続き
『渾身の投稿』・・・などと煽っておきながら、間隔が空いてしまいました。
すいません野暮用が入っていてまとまった時間が取れずにいました。
さて、前回どこまでお話しましたっけ(笑)。
平成5年9月7日最高裁判例の話の前で疲れて書き込みをやめているようです。
というのでそこからご紹介。
Aは、昭和61年5月、Y生命保険会社との間で、被保険者A、保険金受取人B(Aの母)、死亡保険金額2,000万円の生命保険契約を締結した。昭和62年5月9日にBが死亡。
B死亡後の昭和63年11月13日、今度は被保険者であるA自身が、保険金受取人の再指定をしないまま死亡するに至った。
B死亡時の法定相続人は、A、X1、X2、X3の4名であった。
ところが、Aが死亡時の法定相続人は、異母兄弟がいたことで、異母兄弟や、その代襲相続人まで含め、X1~X3とC~Mの計14人であった。
X1~X3は、旧商法676条2項によりB死亡時のBの法定相続人が保険金受取人になるとしてそれぞれ6,666,666円をY保険会社に請求。
それに対して、Yは、同条によれば、B死亡時の法定相続人が被保険者の死亡時までに死亡した場合はその順次法定相続人も受取人になるから、X1~X3およびC~Mの14名に均等に保険金請求権があるとして争った。一審、二審ともYの主張が認められたので、X等が上告した。
結論:上告棄却
裁判要旨
二 生命保険の指定受取人の法定相続人と順次の法定相続人とが保険金受取人として確定した場合には、各保険金受取人の権利の割合は、民法四二七条の規定の適用により、平等の割合になる。
相続ですから、相続分に応じて受取るように思えます。ところが判例は、相続人は均等に保険金を受取ることになるとしています。その根拠として、次の民法427条の規定です。
民法 第427条
数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。
保険法あるいは旧商法676条2項の規定は、保険金受取人を指定してるが、その受取り割合までは、指定していないとの考えているのです。
仮に、相続分に応じて受取るとなると、受取る割合は、相続人14人のうち、3人の子が、各2/7(民法900条4号、半血兄弟姉妹の相続分)であり、被保険者である子の分(残りの/1/7)を、異母兄姉3名および異母姉の子8名を含めた11人、合計14名で受取ることになろうかと思います。。【最高裁判所平成21年6月2日判決】商法676条2項の規定は,保険契約者と指定受取人とが同時に死亡した場合にも類推適用されるべきものであるところ,同項 にいう「保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人」とは,指定受取人の法定相続人又はその順次の法定相続人であって被保険者の死亡時に現 に生存する者をいい(最高裁平成2年(オ)第1100号同5年9月7日第三小法廷判決・民集47巻7号4740頁),ここでいう 法定相続人は民法の規定に従って確定されるべきものであって,指定受取人の死亡の時点で生存していなかった者はその法定相続人に なる余地はない(民法882条)。したがって,指定受取人と当該指定受取人が先に死亡したとすればその相続人となるべき者とが同 時に死亡した場合において,その者又はその相続人は,同項にいう「保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人」には当たらないと解すべきで ある。そして,指定受取人と当該指定受取人が先に死亡したとすればその相続人となるべき者との死亡の先後が明らかでない場合に, その者が保険契約者兼被保険者であったとしても,民法32条の2の規定の適用を排除して,指定受取人がその者より先に死亡したも のとみなすべき理由はない。そうすると,前記事実関係によれば,民法32条の2の規定により,保険契約者兼被保険者であるAと指定受取人であるCは同時に 死亡したものと推定され,AはCの法定相続人にはならないから,Aの相続人であるEが保険金受取人となることはなく,本件契約に おける保険金受取人は,商法676条2項の規定により,Cの兄である被上告人のみとなる。