FP事務所のんだら舎のブログ

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「みなし」相続財産の誤解

 どこかで「みなし」相続財産のお話を耳にされたことはありませんか?

『死亡保険金はみなし相続財産って聞いたんだけど???』

 

 この「みなし相続財産」実は、2つの考え方があります。

  • 民法としての「みなし相続財産」
  • 税制上としての「みなし相続財産」

 民法での概念では「特別受益」などがこの「みなし相続財産」にあたります。

 特別受益とは、被相続人(死ぬ人)が生前、相続人に生計の資本として贈与していたもの等がそれになります。いわば生前贈与でも「相続財産とみなすよ」として持戻し、遺留分や法定相続での遺産分割対象となるということです。

 ちなみに気をつけなければいけないのは、遺留分減殺請求の計算に参入するからと言って、必ずしも特別受益が持戻し財産になるわけではないということです。それは前回の投稿で簡単にですが説明していますのでもしよろしければご覧ください。

 

gyouseifp.hatenablog.com

 

 

 税制上での概念では主に、民法上の相続財産か否かは考慮せず「相続税の計算に参入する財産」という意味合いです。

 いわゆる「死亡生命保険」がそれになります。『保険料負担者=被保険者≠保険金受取人』の死亡保険金は、民法上では固有財産となり相続財産ではありませんが、相続税の計算では対象財産となります。

 ただ、これも気をつけなければいけないのは、上記の「死亡保険金」も「特段の事情」で「持戻し」の対象となり相続財産とされる余地があります。固有財産ですので持戻しの対象とならなければ、遺留分算出の財産にもなりません。

 結論として、死亡保険金は、原則、民法上のみなし相続財産にはならないが、税制上のみなし相続財産になる*1ということです。

 

【まとめ】

民法

  • 持戻しの対象財産/遺留分算出対象の財産【みなし相続財産(生計の資本の財産)】
  • 持戻しの対象の財産/遺留分算出対象の財産【配偶者居住権*2など】
  • 持戻しの対象の財産/遺留分算出対象の財産【死亡保険金など】

 税制上

  • 『保険料負担者=被保険者≠保険金受取人』の死亡保険金
  • 3年以内に支払われる死亡退職金  …etc.

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 こういうややこしさが『相続=争続=争族』に繋がるのかもしれませんね。

 

gyouseifp1987.wixsite.com

*1:保険料負担者=被保険者≠保険金受取人の場合

*2:相続法改正で予定されている。なお「配偶者短期居住権」は遺留分の対象財産ではない