2017年10月25日投稿(一部改稿)
今回は難しい法律とかの話ではなくて、実際の実務のところの本音を行政書士・FPの立場で書いてみます。読まれた方はお得ですね(意味不明)。
私の所の事務所に『相続』関連で相談に来るお客様におかれましては、実際に私の仕事につながるケースというのは、ほとんどありません(大丈夫かよ)。
『営業力が足らないのだよ』と言われたらそれまでなのですが、まぁそれもあろうかと思いますが、営業力というより相続相談(業務)には次のようなケースが多いからなのです。
①『相続』が既に発生していて相続人間でもめている!
『愛は心の仕事です』は「ラ・ムー」*1ですが、『もめごとは弁護士』の仕事です。
②『遺言書』を書いてもらいたいと相続人がやって来る!
被相続人が遺言書を書く事に否定的である。また相続人一人に都合のいい内容を強要してくる。これらも行政書士の業務の範囲外(というかそもそも士業の仕事ではない)。
③『行政書士≒弁護士より料金が安い人』程度の認識で相談に来る!
得意になってまさか『非弁行為』をやっている行政書士はいないと信じたいとは思いますが(^_^;)。我々行政書士はあくまで、『言われた通りの書類』を書いてあげることが仕事。しかしそれを話すと、お客様の方は不満を漏らされて帰られる。でもしょうがない(;>_<;)。
④よくよく聞くと『お客様自身』でできそうなことである!☚これが一番多い
お客様の無知・錯誤につけ込んでさっさと依頼を取り付ける、巷にはそういう士業が多くなってきました。私の性格上、残念な話ですが『それ自分で出来ますよ』などと、教えてあげてしまっている。もちろんお金になりません。
・・・と、まあこんなかんじです。
ほかにも『士業は特権で人探しができると聞いた』とか・・・天知茂じゃないんだから(古いか(^_^;))・・・などというのもあります。
ということで我々、行政書士ができることといえば、
- 『遺言書作成のお手伝い』
- 『信託契約書(家族信託🄬)作成業務』
- 『清々粛々と遺産分割協議に向けた資料集めとその書類の作成』
といったところですかね。しかももめていないことが前提(ここ大事)。
おそらく相続を生業にされている、多くの行政書士の先生方もこんなところだと思います。人によっては、相続診断士や遺品整理士、私のような1級FPのライセンスの知識を活かして、争訟にならないように、保険のアドバイスや、遺産の分け方を被相続人にお話することがあるでしょう。
こうやってみると、意外に我々(行政書士)の相続業務の範囲は絞られてきてしまうのです。とはいっても、それぞれの過程において登記であれば司法書士、税金であれば税理士(こちらはほとんどないといってもいい)・・・と提携することで、トータル的な業務引き受けをやっています。そういった意味では「とりあえず暮らしの悩み事でどこに相談するかわからない」ということであれば『行政書士かFP』という選択肢は間違っていないと思います。
最近では相続の分野に『銀行』が参入してきています。以前より信託銀行が富裕層に相続対策の提案をしていることは、ご承知のとおり。
しかし今では、相続が発生する人すべてを対象にした商品を窓販*2しています。
上記はR銀行さんのものです。しかも金額は540,000円と我々や弁護士の「遺言執行」業務を脅かしかねない金額です。
実は以前、行政書士無料相談時の話ですが、大宮〇ルディージャのスポンサーでもある某『M銀行』からこの手の商品を勧められているのだがどうしたらよいか?・・・という問い合わせがありました。完全に行政書士の業務外だったのですが、わざわざ市役所の紹介でこられた方でもあったので、1級FPの資格の身分で、商品内容をお話させていただきました(もちろんその商品を購入するしないは相談者が決めることが前提です)。
銀行商品はなんだか楽そうでいいや(*≧∀≦*)・・・という方、私もそう思ったのですが・・・・ここには制約が。
【制約】
- 被相続人がその銀行に預金をしなければいけない
- しかもその中の「何%」かを代行業務の報酬としてもっていかれる
- 最低報酬額がある(2.の代行業務の報酬が少ない場合はこちらになる)
- 税理士・司法書士費用は別 ☚(ポイント:実はここが意外に高い)
- 相続人間で揉め事が出たら契約終了
- 遺産分割協議は相続人の間でやる☚(Σ(゚д゚lll)えッ!)
特に「6」ですよね。暴論を敢えて言えば『遺産分割協議がスムーズに整うくらいならあとは、巷の代行(代書)屋に頼めばこんなにお金を取られなくても済んでしまう』ということです。
騙しではないですが、銀行のこの商品、果たしてどうかなと思います。
また、銀行がこの業態に進出したということは、『被相続人の預金の引き出しに難癖をつけて支払を渋るケース』が出てくる恐れもないとは言えません。
それを後押しするかの判例*3もでています。次回の投稿はこの話について、詳しく描こうと考えています(誰も待っていないか(+_+))。
書き出すときりがないので、このあたりで筆を擱きますが、最後に。
相談をする方、受ける方ともに安直な相続対策に走って後悔した・・・そんなことのないように。
例えば『不動産購入による相続税対策の危険性』は何年も前に、私があらゆる発言の場で発狂しておりましたが、「愈々食えなくてやきがまわったか」と馬鹿扱いされたものの、今ではテレビでその惨憺たるケースは紹介されつつあります。
「遺言書を書こうと思っている」、それはなぜ?
「家族信託🄬を設計しようとしている」、それはなぜ?
「相続対策で生命保険に入ろうと考えている」、それはなぜ?
「銀行から奨められた金融商品の購入を考えている」、それはなぜ?…etc
話が随分とタイトルから大きくそれてしまいましたが、『手段』が『目的』となってはいけません。『それ(手段)は本当にうちの家族にとって最善なことなのだろうか?』、そのことを念頭に相続の対策を立てることが重要なのです。