『相続放棄』と『相続分の放棄』。
言葉は似ていますが、概念はまったく違うものです。
『邱永漢』と『許永中』の言葉の類似以上に、もっと違います(意味不明)。
『相続放棄』
これは相続人としての身分を放棄するものです。そのために、初めから相続人でないと考えます。被相続人に債務が在り、積極(プラス)財産が少ない時などに相続放棄がされます。
『相続分の放棄』
これは相続財産を放棄するものです。ほかの法定相続人の一人に財産を譲りたいときなどに利用されます。こちらは相続人としての身分を放棄するわけではないので、被相続人の消極(マイナス)財産を引き継ぐことになります。
どちらも家庭裁判所で手続きをするのですが、大きな違いのひとつとして、相続放棄では『代襲相続』が発生します。
例えば、法定相続人が妻と子で、子が相続放棄をした場合に、被相続人の両親や兄弟姉妹に相続権が発生するというわけです。
【ケース】
被相続人 妻 子A 子B
子Bが「相続放棄」をした場合の相続分
妻1/2 子A1/2
子Bが「相続分の放棄」をした場合の相続分
妻2/3 子A1/3 注*1
※ 法定相続分 妻1/2 子A1/4
妻:子A=2:1
相続分を放棄した子Bの法定相続分 1/4
妻:1/4×2/3=2/12 子A:1/4×1/3=1/12
妻:1/2+2/12=8/12=2/3 子A:1/4+1/12=4/12=1/3
たまにはこんなネタもいいでしょ(^_^;)。
*1:遺産分割協議で計算上と異なる独自の合意がなされることが多い