FP事務所のんだら舎のブログ

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「特別方式の遺言」はあるけれど

 『遺言書』を書きましょう、といってもなかなか書けるもんではありません。それは自分の死と直面する、あるいは金銭的なことをあれこれと画策するのは人としてどうか・・・などの「心情的」なものに起因するのかもしれません。

 しかし、心情的に遺言書を書こうと思っても「物理的」に書く事ができないような場合もあります。それが『特別方式の遺言』です。

 今までこのブログでも書いてきたような「自筆証書遺言」も「公正証書遺言」も普通方式の遺言です。普通方式の遺言は、この他に「秘密証書遺言」があります。自筆証書遺言のように内容を秘密にしながらも、公証人のところに持ち込んで、確認を貰い、各自で保管するというものです。交渉人にも内容が秘密なだけに検認が必要になります。私の周りでは「秘密証書遺言作ったよ」というのは聞いたことがありません(依頼がないだけかも(^_^;))。

 それ以上に「作成しました」というのを聞いたことがないのが、特別方式の遺言です。これは以下のように分類されます。

 

【特別方式の遺言】

  • 危急時遺言:①一般危急時遺言 ②難船危急時遺言
  • 隔絶地遺言:①一般隔絶地遺言 ②船舶隔絶地遺言

「危急時遺言」は、死亡の危急に迫った者の遺言でして、船舶遭難か否かで証人の立会いの人数などの違いがあるのですが、難船などでない場合は死亡の危急に迫った場合の判断が難しく、一般的には「死期の近いことが確実な場合」とされています。

 そもそも船舶遭難で、死を覚悟している時に証人2人がどうのなど、ほとんど不可能でしょう。

 80年代に御巣鷹山に墜落した日航機事故の時、事故現場から回収されたメモ書きにも「財産は○○に」などというのはありませんでした。尤も証人が立会っていないので、形式的に不備になるのを抜きにしても、人は無念の死を覚悟した時に、お金のことは考えないものだとよく判ります。

 また、隔絶地遺言(伝染病などで隔離されているなどのときのもの)も警察官の立会が必要など本当に面倒で、現在では使われることが考えられないと思います。

 

 遺言書よりもむしろ、障害のあるお子様などがいる場合や、認知症等で生前の財産活用が困難になる場合などの民事信託(家族信託🄬)は必要になるのかなと感じています。

 今回は遺言書を残したいのならば、まだいいよなどと考えないで、元気なうちに作っておきましょう…ということです。

 死期間近に慌てて作ることが、意外に困難なことを判っていただきたく書いてみました。

 

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目前に死が迫った時、人はもはや財産がどうのと遺言どころではないと思います。

 

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