ひさしぶりの投稿になります。
前回の投稿が、いつの間にかリンク先がなくなってしまい、投稿として体をなさなくなったので、削除した関係で約1ヶ月ぶりの投稿となります。
専門的なお話になると、アクセス数が減る傾向にあるので、横着して投稿しないでいましたが、そういったことは気にせず、今回はちょっとためになるお話を。
『遺留分』について書き込みます。
本当に理解しているかどうか?
読みやすいように質問形式で作成してみましたので、皆様もご活用ください。
Q.1
遺留分は『祖父母』にはないんですよね?(S市:ジャンボーグ9)
✖:祖父母も遺留分はあります。
配偶者、子、父母、祖父母、子などの直系卑属の代襲相続人・相続排除者・相続欠格者の代襲相続人には遺留分があります。
遺留分がないものとしては、兄弟姉妹が有名で、その他、相続排除者、相続欠格者、相続放棄者、があります。
本当にややこしいので注意が必要です。
Q.2
『遺留分減殺請求』は、家庭裁判所で手続きをするんですよね?(M市:トチロー)
△:「争う手続き」という意味では『家庭裁判所』ですが、まずは意思表示を配達証明付きの内容証明郵便を遺留分を侵害しているものに送るのが実務上です。
『遺留分減殺請求権』とは、遺留分を侵害されていることを知った時から1年、または相続の開始の時から10年で時効により消滅します。
侵害者に『おい、遺留分を侵害しとるやないけ(こんな文面はまずいが(~_~;))』と通知をしておいて、その後、争う手続きをすることになります。
なお、誤解されがちですが『遺産分割協議』が整わないのと、『遺留分が侵害されている』では意味が違いますので、ご注意ください。
Q3.うちは『不動産』しか財産がないので、あらかじめ住居を妻に生前贈与し名義を変更しておきました。贈与税は妻になら税金も2,110万円までかからないというし、子供ふたりには、財産がないということで、相続を諦めてもらいます。我ながらこの対策完璧でしょ?(A市:草加三郎)
✖:巷にあふれる最悪な対策の代表例です。
確かに『資産課税』上は、税金が発生しませんが、『民法』上は疑問符が付きます。
- 婚姻や養子縁組の費用の贈与
- 大学以上の教育の贈与
- 不動産の贈与
- 動産の贈与
- 現金・有価証券の贈与
上記が法定相続人に生前贈与された場合、譲渡された時期に関係なく全て遺留分算定基礎財産に加算される『特別受益』に該当します(民法903条1項)。
上記のケースであれば、お子さんと被相続人となりうる者(相談者)の配偶者がもめていなければ、基礎控除額である4,800万円までは、相続税が課税されないので効果は同じであり、むしろ自分の母親に『出て行け』と遺留分減殺請求をすることは考えづらいので(心情的なものや、二次相続で自分たちに不動産取得の権利があるので)、無駄骨を折るだけ…ということになります。
しかし、配偶者が後妻で子達と血のつながりがない場合や血縁間でいがみあっている…etc…では、遺留分侵害を持ち出され、大いに揉めるケースが考えられるので、その際はこういった誤った小手先の対策ではなく、しっかりとした専門家に相談され、自身の実情にあった対策を考えられたほうがベターだと思います。
回答者:新山文敏(正直者のFP・行政書士・事業承継アドバイザー)