FP事務所のんだら舎/行政書士新山文敏事務所 ブログ通信

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保険金受取人とその相続人が同時に死亡した場合 其のⅠ

先日、埼玉県行政書士会上尾支部で、冬季研修会がありました。

主に戸籍についての研修だったのですが、その研修の中で一部保険の話について触れた部分がありました。

研修の主旨ではないので、さらりと終わってしまいましたが、私としては、相続分野を扱う行政書士というだけでなく、FP国際ライセンス「CFP認定者」、「1級FP技能士」でもあり、大学時代の専攻であった『保険』と聞くだけで、学生時代からの研究の悪い虫が疼いてきたものですから(笑)、今回は独りよがりにはなりますが、久しぶりに学問的な渾身の投稿をさせていただきます。ただ専門用語はなるべく使わないように噛み砕いてご説明いたしますので、どうか最後までお付き合いくださいませm( _ _ )m。

 

Aは、昭和62年8月12日、B保険会社との間で、被保険者(被保険者=保険事故の対象となる者)をA、保険金受取人を妻Cとして生命保険契約を締結。D保険会社がB保険会社の保険契約を包括承継後、さらにY保険会社が、D保険会社から包括承継した。

平成13年7月20日、AとCは、前後不明な状況で死亡(無理心中と聞く)。AとCには子がなく、AとCの両親は既に死亡していた。Aには弟Eのみ兄弟姉妹が、Cには兄Xのみ兄弟姉妹がいた。

Cの兄Xが、(保険法施行前商法、以下改正前商法)676条2項(現・保険法46条に対応)を根拠に保険金受取人になったと主張、Y保険会社に保険金等の支払いを求めた。それに対し、Y保険会社は保険金の受取人はCの相続人Xと、Cの順次相続人となるAの弟Eである、と争った。 

第1審、第2審ともに、同時死亡に改正前商法676条2項を準用し、【同時死亡の推定】により、XがCの唯一の法定相続人であるとし、Xの主張を認容(第1審は一部認容)。

Y保険会社が上告。上告受理申立の中で、「本件の同時死亡の場合、改正前商法676条2項の適用に当たり、指定受取人が保険契約者兼被保険者より先に死亡したものと扱うべき」と主張した。

 上告棄却(Y保険会社の主張が認められないということ最判平成21.6.2】

 

つまり、保険金受取人は『Aの弟E』にはなく『Cの兄X』だけ、ということになります。

?(・ω・*≡*・ω・)? 何がどう問題の?・・・意味不明・・・ですかね。これではよくわからないと思いますので、もうちょっと話を噛み砕いて見ていきましょう。

 

まずは、「条文」から見ていきましょうか。

 

民法32条の2【同時死亡の推定】

 数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。

 つまりどっち早く死んだか判らなきゃ、同時に死んだことにして、否、判断できる、と言うのだったらその人が主張してね(推定)・・・という意味合いの条文です。

 

改正前商法第676条
(第三者である保険金受取人が死亡した場合)

  (備考)保険契約者と保険金受取人が異なる場合、保険法上は「第三者のためにする保険契約」と呼んでいる。
保険金額ヲ受取ルヘキ者カ被保険者ニ非サル第三者ナル場合ニ於テ其者カ死亡シタルトキハ保険契約者ハ更ニ保険金額ヲ受取ルヘキ者ヲ指定スルコトヲ得 
保険契約者カ前項ニ定メタル権利ヲ行ハスシテ死亡シタルトキハ保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人ヲ以テ保険金額ヲ受取ルヘキ者トス

 

ここまで投稿を読み進められたとき、¿?( º?º )¿?アレ?、『遺言で指定したわけでもないのに妻の親族(妻ではない)と、被相続人の兄弟姉妹が同時に相続権が発生していると主張するY保険会社の主張は少しおかしいのではないか?』と、いささか混乱されているのではとご推察致します。

えっ、してない。それは失礼いたしました。

結果的にY保険会社は裁判で負けたので、やはり「おかしかった」で終わるのですが、何がどうおかしいのか?

Y保険会社が、なぜそんな主張に至ったのか。極論すれば、保険金支払いの存否で争ったのではなく、一人に支払っても、二人に支払おうとも保険金額は変わらないわけですから。こんなにも、Y保険会社が『法令解釈の誤り』として最高裁まで拘泥した理由は『改正前商法676条2項』の解釈と、保険会社の主張が認められた『最判平成5年9月7日』の判例が基礎になっているのです。

 

このあたりで入力が疲れてきたので、続きは明日以降にします。

いや~面白くなってきましたね。

 

(つづく)

 

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画像は、生命保険契約のノルマを達成し安堵する、本部営業マンとプロ代理店のセールスレディのイメージです。