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FP事務所のんだら舎/行政書士新山文敏事務所 ブログ通信

埼玉県上尾市のFP/行政書士事務所、いろいろな情報を楽しく発信していきます!

『贈与税』は誰が払うのか?

YAHOOブログ 2016/1/6~2016/1/8 シリーズ投稿

最もアクセス数が多かった記事です。ありがたいことに、いたる所で好評でした。

 

【2016/1/6投稿】

新春一発目。昨年の話で鬼も笑わないでしょうが、こんな一幕がありました。
 
だんな:相続税支払いの対策のためにお金を貯めてるんだって。
わたし:相続人が?
だんな:違うよ、死ぬほう(被相続人)がだよ。
わたし:じゃあそれも、相続財産になりますよ。
だんな:そんなことないだろう。相続税は、死ぬほうが払うんだろう
    ラジオでそう言ってたんだから。
わたし:なにか大きく勘違いしてますよ。誰がそんなこと言ったんですか?
だんな:北島三郎
わたし:えっ・・・・!
だんな:あんな金持ちが相続対策、間違えるわけないだろう。
わたし:贈与税と相続税は、貰った方が申告する義務があるんですよ。
だんな:あんたおかしいんじゃないの?
わたし:そっちこそ間違ってますよ。
    1級FP技能士と演歌歌手、どっちを信じるんですかヽ(`Д´)ノ
だんな:北島三郎
わたし:(T_T)・・・・・・・・・・・・・・・・。
 
 
笑い話のように思えるのですが、本当の話です。
これ、結構お客さんにも多いんです。
 
よく医者が来院した患者に『検査の結果異常なしです』といっても
「テレビでそう言って大変なことになったケースがやっていた」
と言って信じてくれないらしいですし(笑)。
大きな病気が見逃されてるのではないかと。
 
 
なぜか、専門家より『マスメディア』の情報を信じているんです。
うちの両親もそうです
 
 
そして後日、
「だんな」が、嬉しそうに『判例六法』片手にやってきました。
そうです「だんな」は実は、某資格試験の受験生だったのです。
 
だんな:おい、この判例、読んでみろよ。
わたし:なんですか?
 
【財産分与契約の錯誤無効】                        
離婚に伴う財産分与では分与者に課税されることを知らず、かつ、それを当然の前提としてむしろ被分与者に課税されることを案じる会話をしていた等の事情の下では、課税負担の錯誤に関わる分与者の動機は相手方に默示的に表示され、意思表示の内容をなしていたと解すべきであり、分与者は課税に関し錯誤があったものとして財産分与の無効を主張することができる。
(最判平元・9・14)
だんな:ほら「分与者」が課税されるんじゃないか( 」´0`)」!
    やはりサブちゃんは正しかった( *`ω´)。
 
 
さて、わたしは、だんなにどう返答したでしょうか?
さあみんなで考えよう(また死語の世界)!
 
 
つづく
 
 
【2016/1/7投稿】
前回の続き
 
 
わたし:これ税金は税金でも所得税が課せられた有名な話ですよ。
だんな:えっ!所得税だって!贈与税じゃないの?
わたし:つまり「だんな」と同じで、二重に勘違いしているケースなんですよ。
だんな:ワシには、さっぱりわからんよ。説明してくれ。
 
【説明】
おそらく「だんな」は、この判例を見つけて、
離婚する際、妻に「贈与」するケースで、贈与された側(受贈者)が
税金を払うと贈与者(男)が勘違いしていて、
税務署から「税金を払うのはあなたですよ」と指摘され、
税金が払えないので慌てて贈与者が、「贈与はなかったことにしてくれ」と
『錯誤無効』を主張した、
・・・・まぁこんなふうに考えたのだと思います。
そして、やはり贈与者が税金を払うのではないか!と。
 
まず知識として。
民法上、『錯誤』は無効主張ができます
つまり「勘違いしてたんで、なかったことにしてくれませんか」というのは
条件付きでOKということです(過失要件とかがあるけれどここでは省略)。
 
ただ勘違いにも2つあって、専門的な言葉ですと、
『要素の錯誤』『動機の錯誤』に分かれ、このうち『要素の錯誤』だけが
無効主張できます。
 
で、どう違うのかというとですね、例えて言うなら、
 
『要素の錯誤』は、似ているものを間違えたようなケース。
Aだと思っていたものがBだった。
普通Bだったら誰も選ばないよね、みたいな感じです。
 
『動機の錯誤』は、自分の思惑と実際が違ったというようなケース。
駅ができれば、この土地は値上がり間違いなし。購入は今がチャンス!
しかし、駅ができるという話は自分の勘違いだった・・・、みたいな感じです。
 
 
これをふまえて、
【財産分与契約の錯誤無効】                        
離婚に伴う財産分与では分与者に課税されることを知らず、かつ、それを当然の前提としてむしろ被分与者に課税されることを案じる会話をしていた等の事情の下では、課税負担の錯誤に関わる分与者の動機は相手方に默示的に表示され、意思表示の内容をなしていたと解すべきであり、分与者は課税に関し錯誤があったものとして財産分与の無効を主張することができる。
(最判平元・9・14)
この判例が何故有名なのかというと、民法上、
一見『動機の錯誤』だったものが、『要素の錯誤』と認められ、
訴えが認容されたという点にあるのです。
 
そしてその『錯誤』の内容こそが、「だんな」の考えと同じものなのです
 
 
ひっぱって、つづく
 
 
【2016/1/8投稿】
前回からの続き
 
 
話が随分と回りくどくなってしまいましたが、判例とわたしの話を聞いて
今度「だんな」は、次のように質問してきました。
 
『それじゃ、離婚での慰謝料には税金がかかるの?』
 
確かに前の記事で紹介した判例を読むと、そのように読み取れます。
 
結論から申し上げますと、
『基本、税金はかからないけれど、不動産の時は要注意ということです。
 
 
例で説明します。
 
X男とY女が離婚し、X男がY女に離婚の慰謝料として
『1億円』の『A不動産』を譲る約束(契約)をします。
 
その『A不動産』はX男が昔に『2千万円』で購入したものでした。
 
X男は、Y女に「こんなに高い不動産じゃ贈与税かかるよ。君(Y女)大丈夫?」と
心配します。X男は、贈与税が受贈者にかかることを知っているからです。
ここで、X男は贈与税の仕組みは判っているが
  「慰謝料に税金がかかると錯誤している」。
 
そして、後日、税務署からX男に対し所得税』の申告漏れが指摘されます。
 
実は、税法上では、『2千万円』で購入したA不動産を『1億円』で
他人に譲渡した場合、その差額『8千万円』に(譲渡)所得税が課せられるのです
 
この例えでは、金額を分かりやすい数字にしましたが、
実際、判例のケースでは税金額が『1億円』を超えていたのです。
 
X男:
こんなことになるとは知らなんだ。
税金払えないんで、A不動産を慰謝料として譲渡するのは
なかったことにしてくれませんかね・・・・。
 
Y女:
もらったものは返すかよ、嫌なこったい!。
 
そんなこんなで、X男が、
「動機の錯誤だけど、要素の錯誤として無効としてくれませんか」
と、裁判を起こしたケースなのです。
 
こんな税金のからくり、普通に暮らしていたら判りませんよね。
だから、判例ではあのように言ったのです。
 
今一度、前回紹介した、判例を見てみましょう。
【財産分与契約の錯誤無効】
離婚に伴う財産分与では分与者に課税されることを知らず、かつ、それを当然の前提としてむしろ被分与者に課税されることを案じる会話をしていた等の事情の下では、課税負担の錯誤に関わる分与者の動機は相手方に默示的に表示され、意思表示の内容をなしていたと解すべきであり、分与者は課税に関し錯誤があったものとして財産分与の無効を主張することができる。(最判平元・9・14)
 
つまり、『贈与税』における錯誤という点では、正しいのですが
「だんな」の主張する、論点とは関係のないものなのです。
バブル景気真っ只中(譲渡時は昭和40年代後半)の、
不動産が倍々ゲーム(だから死語なんだって)の頃のおはなしです。
 
 
だんな「じゃあ・・・北島三郎のラジオでの発言はなんだったのか・・・」
わたし「・・・・・・( ´△`)」
 
 
 
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