FP事務所のんだら舎/行政書士新山文敏事務所 ブログ通信

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ネコには判らない遺留分侵害額の算出 其のⅡ.

 続きになります。

 前回単純なケースについての遺留分侵害額を見ましたが、今回は、

  • 複数回多人数に『生前贈与』をしている
  • 遺言書での指定が著しく不公平である

といった場合では、どのように遺留分額を算出するのか?

について触れてみたいと思います。

  おそらく、そのあたりの実務的な話はあまり耳にすることはないと思います。

 

 その前に、一口に『贈与』と言っても、以下のような違いがあることを理解しておかねばなりません。・・・と偉そうに言う私も、この世界に入る前は知識がゴチャゴチャでしたので…(^_^;)。皆そんなものです。

 

『遺贈』

遺言書で「死んだらXさんに土地を贈ります」のように指定するもので、相手の承諾(ここで言えばXさん)は必要ありません(片務契約)。

 

死因贈与

契約書等で「死んだらXさんに土地を贈ります」のように指定(約束)するもので、相手の承諾を必要とします(双務契約)。死ぬ前にあげてしまえば単なる『(生前)贈与』です(あげると約束しておいてその前にあげる側が死んでしまったも死亡を理由としない贈与であれば生前贈与)。

 

 今回は『民法上』の遺留分における財産のお話です。個別の贈与が相続税法上の相続財産にあたるかどうかの話ではありませんので、誤解の無いように願います(という私も混乱しがち(^_^;))。

 

 遺留分減殺請求が認められると遺留分を侵害している贈与は、被相続人の死亡に近いものから順次減殺がされます民法の規定も、そのほうが面倒くさくないという主旨だそうです(本当に)。

 

 まとめると、

  1. 『遺贈』+『生前贈与』:『遺贈』→『生前贈与』の順
  2. 死因贈与』+『遺贈』:『遺贈』→『死因贈与』の順
  3. 『複数の遺贈』:価額(財産)の按分*1
  4. 『複数の贈与』:新しい贈与から減殺*2

 といった感じです。

 

 では、『複数の贈与が同時に行われた場合』は、どうなるのでしょうか?

 その場合には、民法1034条の類似適用(通説・判例最判平10.2.26)ということになっていますが、実務上は遺留分の侵害割合に応じて、減殺請求を按分するケースが多く見られます

(=ΦエΦ=) ? ←ネコ

 

  判りづらいので、実際に例を挙げてご説明します。

 【ケース】

Xさんは平成28年11月25日に死亡。Xさんは長女に結婚の支度金がわりに時価30,000千円の土地を、また長男には生計の資本として現金20,000千円をいずれも平成25年10月1日に贈与していた。なお、Xさんの遺産4,000千円(時価)は、被相続人(Xさん)の遺言により二男が 取得するとなっていた。これに「取り分が少ない」と二男が激高ヽ(`Д´)ノ。長女・長男に対し、遺留分減殺請求をしようと考えている。

 

 前提条件

  • Xさん(被相続人
  • 妻(平成25年4月30日に既に死亡)
  • 相続人は『長女』『長男』『二男』

遺留分の計算〉

想定される相続財産:

4,000千円(遺産)+30,000千円(長女への生前贈与)+20,000千円(長男への生前贈与)=54,000千円

※税額計算ではないので『3年』という縛りはなく、相続人にしたすべての生前贈与が遺留分計算の持戻し対象となる点に注意。

 

総体的遺留分割合(民法1028条):

第1028条

兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。

直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一

 

 各人の遺留分割合及び遺留分額を計算すると、

 1/2×1/3=1/6(各人の遺留分割合)

54,000千円×1/6=9,000千円(3人の各遺留分額)

 

二男の遺産額は、4,000千円であるため、

9,000千円-4,000千円=『5,000千円』遺留分減殺請求が長女・長男に対して、出来ることになります。

 

民法1034条を類似適用した場合〉

遺贈は、その目的の価額の割合に応じて減殺する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

遺留分侵害額:5,000千円

長女への生前贈与:30,000千円

長男への生前贈与:20,000千円

長女に対して:5,000千円×30,000千円÷(30,000千円+20,000千円)=3,000千円

長男に対して:5,000千円×20,000千円÷(30,000千円+20,000千円)=2,000千円

 

遺留分の侵害割合に応じて計算した場合〉

遺留分侵害額:5,000千円

長女の侵害額:30,000千円-9,000千円*3=21,000千円

長男の侵害額:20,000千円-9,000千円=11,000千円

長女に対して:5,000千円×21,000千円÷(21,000千円+11,000千円)≒3,281千円

長男に対して:5,000千円×11,000千円÷(21,000千円+11,000千円)≒1,719千円

 

 どちらの、計算方法によるのかは、ケースバイケースで、最終的には相続人間で話し合い、妥協点・合意点を探ることになるのが実状です。

 今回のケースの様に、遺留分を侵害した贈与財産が『不動産』であった場合、贈与を受けた側に金銭がなければどのように減殺請求に応じるのか?

 合意点が各人の思惑でなかなか決まらないがために『相続=争続』となってしまうのです。そうならない対策をしておくべきなのです。

 そうならないようにするためにも是非、行政書士 新山文敏事務所/FP事務所のんだら舎にご相談ください(営業トークです(^_^;))。

 

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*1:別段の意思表示があればその意志に従う(民法1034条)

*2:民法1035条

*3:各人の遺留分の権利の額